今回の「まんまるの輪」は、まんまる薬局で管理栄養士として働く大野愛未(おおの・まなみ)さんへのインタビューです。
大学時代に出会ったまんまる薬局主催のサッカー大会「ましかくカップ」をきっかけに、まんまる薬局へ。しかし、入社後すぐに大きな壁が立ちはだかります。管理栄養士国家試験の不合格、そして内定取り消し。半年間の休職を経て国家試験に合格し、復職して数ヶ月。
「幸せ=健康」を信念に、これからの挑戦を見据える愛未さんの、これまでとこれからをお届けします。
ましかくカップで出会った、「アットホーム」なまんまるの人たち

改めて自己紹介をよろしくお願いします!
大野愛未と申します。最初は上板橋からスタートしたんですけど、今は週3でOMF光が丘、週2でCF上板橋という形で勤務しています。最近は、新規の臨時にも挑戦させていただいたりと、いろいろなことをやらせてもらっています。
まんまる薬局との一番最初のきっかけは、大学3年生のときに参加した「ましかくカップ」でした。城西大学の薬学部にあるサッカーサークルの友人がいて、その子から「女子サッカーに興味ある人がいて」とお誘いを受けたのが始まりです。それで「行ってみようかな」って軽い気持ちで参加して、ゆりえさん、ありささん、ゆうろさんといった、まんまるのメンバーと初めて出会いました。松岡さんと話したのもそのときが初めてです。
そこで感じたのが、「和気あいあいとしていて、アットホームな雰囲気だな」という強い第一印象でした。すでに年齢とか性別とか問わずにいろいろ話せる環境でした。社長って一般企業だとなかなか遠い存在だと思うんですけど、社長の松岡さんとまんまるの人との会話も見てて、「あ、近い存在なんだな」ってその場で感じました。
管理栄養士でわたしのメンターの松倉さんとは、お互いずっとスポーツをやっていた話で盛り上がり、「サッカー好きなんだよね」「野球好きなんだよね」って、ごく自然な会話から始まったのを今でも覚えています。「ここはちゃんと人として接してくれる場所だ」——その感覚が、まんまるを選ぶ大きな理由になりました。
祖父の在宅医療が教えてくれた、薬局という選択肢

もともと私は、がんの専門病院や急性期病院で管理栄養士として働きたいという気持ちが一番大きかったんです。実習先で「がん専門療養管理栄養士」という資格を持っている方にお会いして、「いつかこういう資格を取りたい」と憧れていました。だから就職活動も、最初は病院を第一に考えていました。
そんな中で大きな影響を受けたのが、祖父の存在でした。祖父はがんを患っていて、在宅医療を受けていたんです。末期ではないんですけど、「普段の生活をしたい」という祖父の意向のなかで、いろんな医療者の方が関わっているのを間近で見ていて。「管理栄養士もこういうことができるんだ」って、そこで初めて知りました。
病院で患者さんと向き合うと、どうしてもその人の一部分しか見られないんです。でも在宅は違う。その人の私生活まで、まるごと全部見られる。食事も家族との関係も住まいの状況も。それが、ちょっと面白いなって思ったんです。
就職活動が思うようにいかなかったときも、「ちょっと幅を広げてみようかな」と考え直すきっかけになりました。そうして薬局という選択肢にたどり着いた感じです。
数ある薬局のなかでまんまるに決めた理由は、やっぱりましかくカップで感じた「アットホームな雰囲気」と「気軽に自分の意見を伝えやすい」場であることだったと思います。就職活動の軸の中で、私はそこをすごく大事にしていて。実際に入ってみても、その第一印象がそのままだったのがまんまるでした。「ここでなら、自分らしく働けそう」。そう思えたのが、決め手です。
内定取り消し、そして「恩返ししたい」と決めた休職

実は、まんまるに入社する前に、別の病院で内定をいただいていたんです。でも、管理栄養士の国家試験に落ちてしまって、資格が前提だったその内定が取り消しになってしまいました。あと1〜2点というところで、本当に悔しい結果でした。
そんなときに松岡さんからお話をいただいて、まんまるに入社できることになりました。だから、まずはこの会社に入れたことに対して、私の中には「絶対に受からなくちゃいけない」「合格で松岡さんはもちろん、まんまる薬局に恩返しがしたい」——その一心しかなくて。休職して勉強に専念することを決めたのも、その気持ちからでした。
会社に伝えるとき、最初に話したのはCF上板橋の管理薬剤師の広大さんでした。そのときから、皆さん「頑張ってほしい」って、全面的にサポートしてくださって。本当に応援してくれているのが伝わってきたのが、何より嬉しかったです。
正直、半年間ずっとモチベーションを高く保てたわけではありません。折れかけた瞬間もあって。でもそのたびに、まんまるのメンバーから連絡をもらったり、ご飯にお誘いいただいたり。そういう関わりを通じて、改めて「ここで恩返ししないと」って、何度も気合いを入れ直していました。
仕事の時間が終わったら関係も終わり、という人がいないんですよね、まんまるは。人として、ちゃんとコミュニケーションを取ってくれる。あの半年間、それがどれだけ自分を支えてくれていたかは、後になればなるほど強く感じます。
1月2月の崖っぷちと、一本の電話

半年間のなかで、いちばんつらかったのは直前期の1月、2月でした。
「絶対に受かりたい」「恩返ししたい」というプレッシャーが、自分の中で大きくなりすぎていて。毎日勉強机に向かいながら、自分で自分を追い込んでいくような感覚がありました。半年前から本格的に始めて、4年生のときから勉強してきたベースもあって、知識的にはやれている手応えはあったんです。それでも、「もし、また落ちたら」という不安は最後まで消えませんでした。
そんなとき、松倉さんと連絡しました。勉強のわからないことを質問したら、
「みんな待ってるよ」
その一言を聞いて、もう一度頑張ろうって思えました。あの瞬間がなかったら、最後まで走り切れていなかったかもしれないと、今でも思います。
そして迎えた合格発表の日——。私は吉祥寺での、お昼休憩のタイミングで、自分が合格していることを知りました。
もう、めちゃくちゃ嬉しくて。そしたらゆりさんも、松倉さんも、ゆうろさんも、みんなが自分のことのように喜んでくださって。あれだけプレッシャーを背負ってきた半年間が、一気にほどけていくような感覚でした。「ここで恩返しを始められる」。そう実感できた瞬間だったと思います。
「医食同源」の視点、同じ誕生日の患者さん——資格を取って増えた新たな視点
復職して数ヶ月。資格を取って一番変わったのは、患者さんを見る視点だと思います。

たとえば、カリウムのお薬を飲んでいる透析の患者さん。以前なら「あ、透析に行ってるんだ」「カリウムを飲んでるんだ」で止まっていたんです。でも資格を取ってからは違いました。「カリウムが出てるってことは、腎機能に問題があるな」「じゃあ野菜や果物を控えてもらわないと」って、頭の中で疾患と食事制限がつながるようになりました。
実際にご自宅のキッチンに入ったら、果物がいっぱい置いてあって。「これだから、こう」って、順序立てて整理して、患者さんに具体的なアドバイスができるようになったんです。まさに「医食同源」の考え方ですよね。臨床の知識だけでも、栄養の知識だけでも、たぶんつながらない。両方あるからこそ、患者さんに本当の意味で寄り添える気がしています。
復職してから、まだ1ヶ月ですが忘れられないエピソードもあります。つい先週なんですけど、誕生日が同じ患者さんとたまたまお会いしたんです。「実は私、誕生日一緒なんですよ」ってお話ししたら、すごく喜んでくださって。「あったことないんだよ、こういうの」って言いながら、最後は握手までしてくださって。「いつも本当にありがとうね」と飲み物までいただいて。
同じ誕生日の人って、なかなか出会えないですよね。あれはすごく、最近いちばんハッピーな瞬間でした。資格と知識だけじゃなく、「私自身として」患者さんと関われたことが、何より嬉しかったです。

社内で尊敬できる先輩とかいますか?
松倉さん、広大さんの2人を挙げたいです。松倉さんは入社当初からの直属のメンターで、社内でもいちばん話しやすくて、相談もしやすい存在。広大さんは、最初「人見知りだな」と正直思ってましたが、最近はいろいろお話してくださるようになって、心を開いてくださったんだなって感じる瞬間がすごく嬉しいです。新規臨時を一緒に回らせてもらったときに、視野の広さに「すごい、見習いたいな」って感じました。あとは、こびーさんは、本当に気配り上手。みんなに細やかに声をかけている姿を見て、「私も自分に後輩ができたら、ああいうふうになりたいな」って思っています。
「幸せ=健康」——もっと広い人たちへ届けたい栄養の話
最近、新しくやってみたいことが見えてきました。高齢者以外の方への栄養講習を、まんまるの中でやってみたいんです。
どうしても「在宅=高齢者」というイメージが、自分の中にもありました。でも、それだけじゃない。「在宅だけどいろんなことをやるよ」って、もっと広く発信していきたいんです。地域のスポーツクラブの方、子どもたち、妊婦さん、団地のファミリー層——高齢者じゃない人たちにも、栄養の大切さを届けていけたら、もっといい未来が広がるんじゃないかなって。
実は、大学時代のサッカー部の監督から、社会人サッカーチーム向けの栄養講習の依頼もいただいていて。熱中症対策や、減量・増量の話など、できるところから少しずつ始めていきたいです。「自分から打診してもいい」と背中を押してもらえて、そういう活動を広げる手応えも感じ始めています。

なぜ伝えていきたいんですか?
私の中で、「幸せ=健康で最後まで過ごすこと」なんです。
一人でも多くの人の幸せに携わりたい、というのが、もともと就職活動の軸でした。その幸せを叶えるためには、健康に寄り添うことが必要で。食事は、その健康を支える土台だと思っています。祖父ががんを患っているのを見て、改めて「健康が一番の幸せだ」って痛感しました。だから、一人でも多くの人の幸せ——健康に、つながりたい。今、その気持ちがいちばん強いです。
ましかくカップ、まんまる入社、休職、復職——この数年で本当にいろんなことがありましたけど、振り返って感じるのは、「自分には、本当にたくさんの応援してくれる人がいる」ということです。学生という狭いコミュニティの中だけでは、なかなか気づけなかった。社会人になって、いろんな年齢層の方と出会って、その幅の広さと深さに気づけたことが、いちばんの財産だと思っています。
国家試験を控える学生さんへ——「悔いなくやってください」
最後に、メッセージを伝えさせてください。
まんまるの皆さんには、本当に感謝しかありません。ここから復帰させていただいたので、ギアを上げて、皆さんの力になれるように頑張ります。休職という大きな決断を受け入れてくれたこと、そして合格を自分のことのように喜んでくれたこと——その恩返しは、これからの私の仕事で、少しずつでも返していきたいと思っています。
そして、いま国家試験に向けて勉強している学生さんへ——。
悔いなくやってください。
私自身、一度落ちた経験があるからこそ、その悔しさも、プレッシャーも、苦しさも、よく分かります。だからこそ、「あのとき、もっとやっておけばよかった」と振り返らなくて済むように。自分のためにも、自分を信じて応援してくれている人たちのためにも、最後の一秒まで諦めないでください。
患者さんに対しては、もっともっと信頼してもらえるボランチであり、管理栄養士になりたいなと思います。一緒にやっていきましょう。

