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「薬剤師じゃないからこそ、できることがある」――在宅医療の最前線で戦う管理栄養士の覚悟

2025年12月で、まんまる薬局に入社して半年が経過した管理栄養士の池川さん。介護老人保健施設(老健)でのリーダー経験を経て、在宅医療の世界へ飛び込んだ彼が直面したのは、「薬剤師ではない自分」という壁と、そこから逃げずに掴み取った患者さんとの信頼関係でした。管理栄養士としての専門性、そして組織を牽引するリーダーとしての覚悟について語っていただきました。

厨房から在宅へ。管理栄養士としてのキャリアの変遷

–まずはこれまでの経歴を教えていただけますか?

専門学校を卒業して管理栄養士の資格を取り、新卒で「株式会社ツクイ」という有料老人ホームに入社しました。そこでは主に調理を担当していたのですが、1年半ほど経った頃に厨房業務が委託に切り替わることになり、退職を選択しました。
2社目は、介護老人保健施設(老健)です。ここではケアプランの作成や厨房スタッフのシフト管理などを担当し、主任としてリーダー業務も経験しました。ここでも1年半ほど働き、「次は在宅の現場で管理栄養士として働きたい」という思いから、まんまる薬局へ入社しました。

–前職の老健では主任として、人をまとめる立場だったんですね。まんまる薬局でも、そういった「組織を引っ張る」という視点は活かされていますか?

そうですね。自分自身の性格的にも、みんなを引っ張って職場を盛り上げていきたいという気持ちが強いです。ボランチだからといって引け目を感じるのではなく、薬剤師と対等な立場で、かつボランチでも組織を牽引できるんだということを証明していきたいですね。

「お前じゃ話にならん」という拒絶から始まった信頼関係

–この半年間で、一番やりがいを感じたエピソードはありますか?

光が丘の患者さんとのエピソードが印象に残っています。まんまるに入ってから2ヶ月目ぐらいになる8月から担当になった50代の男性患者さんなのですが、当初はボランチや他の薬局に対して非常に攻撃的な方でした。僕が自己紹介をして名刺を渡しても、「男だし、名前なんて覚える気はない」と突き返され、「薬剤師じゃないお前じゃ話にならん」といった態度で……。

–最初はかなり厳しい対応だったんですね。

正直、「もう行きたくないな」と思ってしまいました(笑)。
でも、ここで逃げて担当を変えても自分自身の成長には繋がらない。何より、自分からアクションを起こさないと信頼関係は生まれないと思い直し、諦めずに通い続けました。 自分から積極的に話しかけ、相手の変化を敏感に察知して言葉にする。そういったコミュニケーションを泥臭く続けていたところ、先週の金曜日に患者さんからこう言われたんです。 「俺に対して、こんなに男の子が喋りかけてくることは滅多にない。お前はすごいと思うよ」と。

–それはすごい変化ですね!

本当に嬉しかったです。「逃げなくてよかった」と心から思いました。最初は拒絶されていたけれど、自分という人間を見て認めてもらえた瞬間でした。

管理栄養士だからこそ気づける「食」の悩み

–管理栄養士としての専門性は、今の現場でどう活きていると感じますか?

在宅の現場では、食事に困っている方が本当に多いです。例えば、退院直後でカリウム値が高く、「何をどう食べたらいいか分からない」と悩んでいる方などです。 私たちボランチは薬を届けるだけではなく、生活全体を見ています。そこで「管理栄養士」という資格を持っていることは大きな武器になります。

–薬剤師とはまた違う視点で患者さんに関われるわけですね。

はい。実は、自分たちが思っている以上に「薬剤師」という肩書に緊張してしまう患者さんもいらっしゃいます。一方で僕たちは良い意味で「薬の専門家」ではないので、患者さんも食事の話や生活の悩みを話しやすい雰囲気があるようです。 ただ、社内を見ていると、どうしても「薬剤師とボランチ」という壁を感じてしまい、遠慮している管理栄養士も多いと感じます。

–「自分は薬剤師じゃないから」と引いてしまう?

そうなんです。でも、それでは食事の相談なんて引き出せません。「自分は管理栄養士だ」ということをもっと発信して、自信を持って提案していくべきだと思います。そうすれば、食事の相談件数も増えるし、患者さんの生活をもっと良くできるはずです。

全員がプロフェッショナルであるために

–今後の目標について教えてください。

まだ入社半年ですが、これからは下の世代や新しく入ってくる子たちを引っ張っていける存在になりたいです。最近入った子たちへの教育に関しても、マニュアル通りに教えるだけではなく、「その子にとってどう教えるのが一番伝わるか」を考えて接するようにしています。かつての自分が、放置されて仕事を覚えられずに苦労した経験があるので(笑)

–自分が苦労したからこそ、後輩には同じ思いをさせたくないという優しさですね。

はい。それに、まんまる薬局は役職や職種に関係なく、手を挙げればチャンスをくれる会社です。「自分はボランチだから」と枠に収まるのではなく、管理栄養士という武器を活かして、会社全体を盛り上げていきたい。自分が先陣を切って行動することで、「ボランチでもここまでできるんだ」という道を作っていきたいと思っています。

–頼もしいですね。これからの活躍にも期待しています!