- 「ボランチ」の存在意義とは?
- まんまる薬局が目指す患者さんへのサービスとは?
- 薬剤師の存在意義にも変化が?
「医療をサービスにしたい」と声を大にする松岡さんにその世界観とそれを支えるボランチの存在意義についてお聞きしました。
ライター:フリーランス薬剤師ちゃそ
目次

ボランチの存在意義は2つあると思っています。
1つ目は、薬剤師のサポートという側面です。
前回もお伝えしましたが、薬剤師が一人で患者さんのお宅に訪問することは一定のハードルとリスクがあります。
この2つをボランチが軽減し、薬剤師には薬剤師としての業務に集中していただく状態を作ることですね。
患者さんへの細かなサポートや気になることなどをひとつひとつクリアにしていく。
「サービスとしての医療」とは、単純に薬をお届けすることだけではないので、薬の説明以外のあらゆるサポート業務をこのボランチが担っています。
2つ目は、患者さんから見た側面です。
薬に関する専門用語や飲み方などを、より患者さん目線に立ってサポートをさせていただく意義があると思っています。
専門家である薬剤師が伝えたいことを、ボランチが患者さんの視点を持ちつつ、それを要約しながらお伝えをすることもあります。
言わば薬剤師と患者さんの間に立つスピーカーのような存在です。
在宅を始めてから気づいたことですが、このボランチという存在を家族のように感じていただける方が非常に多いんですよね。
これは今までの薬局業界の課題かと思いますが、患者さん視点に立った調剤・投薬をしてもらえていなかったのではないかと思っています。
そういった部分をサポートすることがボランチの存在意義の1つだと思っています。
- ボランチの存在意義は「薬剤師目線」と「患者さん目線」の2つ。
- お薬の説明以外のあらゆるサポート業務を担う存在。
- 家族のように患者さんに寄り添う存在。
次にまんまる薬局が掲げる「サービスとしての医療」についてですが、松岡さんからみた薬局業界の変化からまずはお聞きしてみました。


まず、前提として薬局や調剤のあり方についてお話しさせていただきたいです。
それは、調剤薬局や調剤というものの価値が大きく変化していくということです。
薬局のやり方に患者さんが合わせる→患者さんに合わせて調剤をしていくに変化すると。
他の業界で言うと当たり前のことかもしれませんが…
それは様々な部分で変化してくると思っていまして。
例えば、従来の外来型の薬局ですと、薬局にお越しいただいた患者さんにだけ調剤ができていました。
一方で、ご自宅でしか受け取れない患者さんも多くいらっしゃると思うのですが、なかなか患者さんに合わせた調剤はできていなかった。
在宅のお問い合わせが増加している背景を見ると、実は潜在的に大きなニーズがあったと伺えます。
これは、薬と患者さんを繋ぐ接点の「場」がどんどん変化してきている裏返しだと思っていて、薬局ありきで調剤をするのではなく、患者さんありきで調剤をする価値観が当たり前になってくるのではないかと思っています。
また、「情報」という観点でも変化があると思っています。
例えば、訪問看護師の方や介護ヘルパーの方が患者さんの代わりに薬局で薬を受け取り、患者さんにお渡しすることも増えてきています。
このモデルの意義は、先ほどお伝えした「患者さんありきの調剤」を増やしていけるものだと思っていますが、この場合、薬は手元に届くのですが、薬の専門家である薬剤師からの声が直接届けられないんです。
薬というのは当たり前ですが、患者さんの体調や体質、症状などによって処方されているのにそれらの情報を直接お伝えができない。
これは、薬に関する「情報」を患者さんにどれだけ丁寧にわかりやすくお届けできるかに関わってくることです。
在宅をやっていく中で見えてきたことなのですが、調剤をされた薬を患者さんが飲めていないという事実もあります。
前回の記事でもお伝えしましたが、従来の薬局は「患者さんに薬をお渡しすること」がゴールとなっていて、調剤をされた薬がどうなっているのかまでは関与していませんでした。
私も薬剤師と一緒になってボランチの立場で患者さんのお宅に訪問するのですが、飲めていない薬の山があったりというのは往々にしてあります。
これってゴールが違うんじゃないかと思っていまして。
薬をちゃんと飲んでいただくところまでをゴールとして設定して、患者さんをサポートすることが一番大切だと思っています。
これに加えて、「薬が飲めていない」事実だけを見るのではなく、なぜ飲めていないのかなども見ています。
- 患者さんと薬局の関係性にも大きな変化がある。
- 「薬局ありきで調剤をする:ことから、「患者さんありきで調剤をする」へ。
- 薬を渡すことがゴールではない。

わかりやすい例で例えると、前述した通り患者さんが「なぜ薬が飲めていないのか」を考えていくところにスポットを当ててみましょう。
朝昼夕に服用いただく薬があったとします。
で、患者さんにお聞きしたり調剤されている薬の残量を見ていくと、なぜか昼のものだけが飲めていないことが多い。
その時に、「なぜなのか?」を必ず考えるように徹底しています。
これは薬剤師もボランチも立場は関係なくですね。
そこから、薬の服用方法等を薬剤師が考えてドクターにご提案するなどに繋げていくように取り組んでいます。
先ほどの例だと、朝夕1日2回の服用に変えられないか?など。
薬には規格というものがあって、25ミリのものと50ミリのものがあり、規格に関することなどもドクターにご提案させていただいたり。
こういうこともできるのが「薬剤師の価値」だと思っています。
ドクターは診察の時に、患者さんに合わせた医療プラン(治療方針)を考えて、薬を決められています。
しかし、その薬自体が飲まれていないとその医療プランが崩れてしまいますよね?
そのため、現場での患者さんの情報をドクターに共有をさせていただくこと、そこに提案を加えることによって、病院だけ、薬局だけと分断されている医療サービスが繋がっていくと思っています。
結果的に、患者さんにとって最適な医療サービスを提供できる。
そんな状態を作るのが、まんまる薬局が掲げる「サービスとしての医療」のイメージですね。
いい意味でも悪い意味でも、従来はドクターに頼りっぱなしの状態だったと思います。
診断のことも薬のこともドクターが全て判断していましたが、診断・薬剤とそれぞれの専門領域が広く深くなってきたので、棲み分け分業が進んでてきているのかなと思っています。
もちろん、それにより薬局や薬剤師が担う役割やミッション、責任も必然的に変わっていきます。
薬のプロとして患者さんにとっての必要なことに目を向ける気づきの力が求められます。
- 「なぜ?」を見逃さない。
- 患者さんの生活状況からドクターも巻き込んだ医療サービスを目指したい。
- 患者さんにとって最適な医療サービスを病院などと連携して行ってきたい。


薬剤師が自信を持って患者さんやドクターに接していく、提案していける世界観を作りたいですね。
これも前回お伝えしましたが、「受動から能動へ」がまさにです。
せっかく難関試験に合格をしたのに、薬剤師としての存在意義を感じられずに働いていくのがもったないと思っていまして。
これは当社に興味をお持ちいただいた薬剤師の方と面談でお話しすることなのですが…
「どうせなら自分の薬剤師としての専門知識を最大限生かるフィールドで働いてみない?」
「ドクターの指示だけで仕事をすることが、薬剤師の仕事なんだろうか?」
「薬のための薬剤師ではなく、患者さんに寄り添った薬剤師にやりがいを感じてみない?」
こんなことをお話しすることが多いです。
やはり、強い興味を持ってくださる方が多いですね。
「何のために働くのか」をいつのまにか忘れていましたと言ってくださる方も多くて。
なので、まんまる薬局は薬剤師の存在意義を自分で体感しながら働ける環境であり続けたいと思っています。
- 患者さんの視点に立って薬剤師も変わっていく必要がある。
- 受動から能動へ。
- 専門知識を最大限に活かせるフィールドを作り続けたい。